効果的で誰もが納得するやり方

由依です、世田谷区の未来への備えは、日本が向き合う現実の課題と重なる。
小学校に通う児童数は全国で654万人と10年間で9%減り、過去最低を更新中。
これを受け文部科学省は今年初め、公立小中学校の設置基準の手引きを約60年ぶりに改定。
スクールバスを確保できれば通学時間は「おおむね1時間以内でよい」という基準を加え、より遠くから通学できるようにして学校再編を後押しする。
一方、政府方針への“抵抗”も起きている。
熊本県南部の多良木町。昨年4月、過疎の山間部の小学校を再開した。
椎葉袈史教育長は子育て世帯を呼び込むには学校が不可欠。
学校開設は地域活性化につながると鼻息が荒い。
実際、小学生の子どもを持つ世帯が福岡県から多良木町へ移り住み、町の狙いは空振りには終わらなかった。
だが目下のところ、多良木町が再開した小学校の生徒は福岡県からやってきた1人だけ。
これに対し、教員や用務員は合わせて4人配置している。
子ども同士の人間関係を学ぶ機会を確保するため、週1度は車で30分かけて隣の小学校へ赴いて授業を受ける。
費用対効果を度外視してでも、学校を維持している。
教員数と学力は関係するのかどうか――。
財務省はそんな問題を投げかけ、児童数に合わせて教員数を減らすよう主張している。
約70万人の教員は24年度までの10年間で4万2000人減らせる、と財務省は試算する。
歳出削減の思惑を下村博文文科相は「机上の空論」と切って捨てる。
子どもが自ら課題を見つけて解決する現代の教育には、一定以上の教員が必要だという論法だ。
教育は未来への先行投資で、教育再生なくして我が国の成長はない。
安倍晋三首相は7月の教育再生実行会議でそう力を込めた。
教育が国造りの根幹であることに異論は少ない。
国も地方も多額の借金を抱える今、効果的で誰もが納得するやり方をひねり出せるだろうか。